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幼い子供を連れてレストランに行ったり、友人のホームパーティーに招待されたとき、子供の世話ばかりで食事の味や大人同士の会話を楽しむ余裕がなかったといった経験はありませんか?子供が小さい間は仕方がないと諦めるのは日本人だけではなく、アメリカ人の親はむしろ私たちよりもこうした考えが強いかもしれません。しかし、フランス人の考え方は大きく異なります。「子供に四六時中刺激を与え続けなくてもよく、親は自分たちだけの時間も楽しむべき。その間子供を放っておくことに罪悪感を覚える必要なない」と考えるのがフランス流。日米に比べて子育てに対する姿勢が「ゆるく」聞こえがちですが、そこには子供が幼いうちから「規律」と「自由」をきっちりと教え込むフランスならではの子育てに対する考え方があるのです。

アメリカのママが驚いたフランス式子育て

パリ在住10年のアメリカ人ママ、パメラ・ドラッカーマンさんは、自身の経験をもとにフランス式子育てを紹介した本「Bringing Up Bébé」を2012年に上梓し、アメリカで大きな話題になっています。フランスと言えばワインやチーズ、ファッションなどが世界的に有名ですが、子育てについては特に知られているわけではありません。むしろアメリカの方が最新研究に基づく「育児メソッド」が次々と誕生し、パメラさんもフランスから子育てについて教わるとは思っていなかったと言います。

しかし、パメラさんはフランスに住んで間もなく、1歳半になる娘と他のフランスの子供たちの様子が異なることに気が付いたそうです。例えばレストランに行くと、自分の娘は好きな物しか口にせず、飽きると砂糖の袋を破いたり、店内を徘徊するなどして騒々しいのに対し、他の子供たちは大人しく席に座り、選り好みせずに何でも口にしている光景を見て驚いたと言います。また、友人を自宅に招くと、アメリカ人は子供の後を付いて回って忙しく世話をしているのに対し、フランス人の場合は子供が静かに遊んでくれるので、大人はゆっくりコーヒーを飲みながら会話ができるのだそうです。パメラさんはフランス式子育ての「魔法」を探るべく、自分なりに調査を行い、いくつかのことに気が付いたそうです。

グルメ大国ならではの『食育』

子育ての違いは家庭だけでなく、保育園でも見られるそうです。パメラさんが最初に驚いたのが食事。娘が通うパリの保育園の食事は、ビストロで出されるような豪華さで、4種類から選べるコース料理と、毎日違うチーズが出されるそうです。食事が運ばれてくると先生がお皿の蓋を取り、「これは魚料理です」などと言って、まるでレストランのシェフのように1つ1つの料理を子供たちに説明するそうです。しかし、いくら美味しく調理されていても、子供には好き嫌いがあるもの。ところが、子供たちが全ての料理をきれいに食べ終えるのを見て、パメラさんはさらに驚かされたそうです。フランス人は、食事を人生における最大の喜びの一つと考え、子供たちには「完食しなくてもいいけど、全ての食事をテイスティング(味見)して、味や香りを楽しみなさい」と教えているそうです。

アメリカの親が、「ビタミンが豊富だから」といった理由で子供に食事を食べさせようとするのに対し、フランスの親は、純粋に食べることを楽しむことを教えようとする点が大きく異なるとパメラさんは感じたそうです。また、例えば子供がブロッコリーを食べないとき、アメリカの親は数回トライして諦めてしまうのに対し、フランスの親は、「子供に生まれつき好き・嫌いはない。食べ物の味や風味を楽しむことを学ばせるのは親の重要な役割」と考えて、調理方法を変えたり、ユーモアを交えたり、様々な工夫をして食べるまで何度でもトライし続けるのだそうです。こうした食に対する考え方から、フランスではキッズメニューがなく、子供は幼いうちから大人と同じ食事を食べるのだそうです。

幼児期から『忍耐』を学ばせる

パメラさんが感じたフランス式子育てのもう一つの特徴が、「忍耐」を学ばせることだそうです。フランス人は、忍耐ができないと自分をコントロールできず、人生を楽しむことができないと考え、赤ちゃんのときから忍耐のトレーニングが始まるそうです。例えば、生後2週間の赤ちゃんが寝ている間に泣いても、親はすぐにあやすことをせず、赤ちゃんが一人で眠りに戻れるまで待つそうです。この結果、生後2、3ヶ月にもなると多くの子供が夜通し寝ることができるようになるそうです。

また、子供に忍耐力を習得させる方法として、フランスの親は子供に一人遊びをさせるそうです。一人でいても退屈せず、自分一人でも楽しめるようになることがとても大事だとフランスの親は考えるそうです。パメラさんが子供をパリの保育園に通わせ始めたとき、保育園で子供たちがそれぞれ思い思いの遊びをしていることに驚いたそうです。もちろん、集団で歌ったり遊ぶこともしますが、アメリカに比べて個人で自由に遊ばせる時間が長いことに初めは戸惑ったそうです。

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親の『権威付け』に見られる違い

子供に対して親としての権威を確立することはとても重要なことですが、どこまで厳しくしていいか迷う親も多いと思います。パメラさんによると、アメリカでは、子供に厳しすぎると子供の成長に害を及ぼすと考えられているため、子供を躾けるときに発する”NO!”が中途半端になりがちで、そのことを子供に見透かされてうまく躾けられないケースが多いそうです。

一方、フランスでは子供がやってはいけないことの境界線がはっきりしていて、境界線の中では何をしても自由なものの、境界線を越えると親は子供を躊躇なく厳しく叱り、子供も親の真剣さを理解して素直に従うようになるそうです。フランスの親が考える境界線とは、子供が大人に対して「こんにちは」「さようなら」「ありがとう」といった挨拶をしっかりすることだそうです。これには、礼儀正しい子供に育てること以外にも目的があるそうです。子供は放っておくと自分だけの世界に入り込み、自分勝手になりがちなので、他人に挨拶をさせることで自分の殻から引き出し、他人を思いやる気持ちを育ませることができるのだそうです。

異文化の子育てを学び始めたアメリカ人

フランス式子育てを学ぶにつれ、パメラさんはフランスの子供がレストランなどで騒がず、行儀よくしていられる理由が理解できるようになり、アメリカの育児スタイルに比べて優れた点をたくさん見出すことができるようになったそうです。

パメラさんのように、異文化の中で子育てを経験したアメリカ人のママが、その国独特の優れた点をアメリカに持ち帰って紹介するケースが最近増えてきています。以前ご紹介したChristine Gross-Lohさんは日本の子育てに学ぶ点をアメリカのママ・パパたちに紹介して話題になりました。

アメリカ人の多くは、自分たちの「メソッド」が医学的・科学的に最先端であると考えていますが、フランスや日本などで実践されている昔ながらのシンプルな子育てにも優れた点がたくさんあることを理解し、取り入れようとする姿勢は非常に建設的だと思います。私たちも、日本で慣れ親しんだ子育て以外にも、世界には様々な子育てのスタイルがあることを学び、それらの良い点を積極的に取り入れていくことはとても有意義なことだと思います。今後も、babytopia(ベビートピア)では、様々な国の子育てを紹介していきたいと思います。

参考元:The Wall Street Journal: “Why French Parents Are Superior”

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