昨今、教師による生徒への体罰が問題になることが多いが、子育てや教育の一環として体罰を必要と考える国や文化は少なくない。実際、日本とアメリカでは、過半数が幼少時に親から叩かれた経験があるという調査結果も出ている。しかし、最近の研究によると、叩くことは様々な観点から子供の成長にマイナスに働くことがわかってきている。

日本の親は「子供を叩くこと」に肯定的?

2009年にアメリカの育児情報サイトbabycenterが1300人以上のママを対象に行ったった調査によると、49%が子供をしつけのために叩くと答えている。この数字は高いように思えるが、実は日本では61.5%の親がしつけのために子供を叩くことが必要だと考えている。これは、象印が今年4月に第1子が3歳以上6歳未満の子どもを持つ既男女400名 に対して行った調査結果だ。

一方で、親自身が子供の頃に叩かれた経験があると答えたのは、アメリカで81%、日本で52%とアメリカの方が日本を大きく上回る。興味深いのは、アメリカ人は自身が叩かれた経験を否定的に捉え、自分の子供のしつけには異なるアプローチをとることが多いのに対し、日本では、幼少時に叩かれた経験のある親の大半が、自身の子供を叩くことを肯定的に捉えているという点だ。

子供を叩くべきでない理由

では実際のところ、しつけのために子供を叩くことは効果的なのだろうか?米国小児科学会はどの様な状況下であっても、子供を叩いてはいけないとしている。その理由として同学会は以下の理由を挙げている:

  • 最初は効果があるように見えても、時間の経過とともに効果が薄れる
  • 大半の親は子供を叩くことが本当は嫌なため、子供に対して一貫性のある対応をとらない
  • 子供を叩くことは、子供に責任感を学ばせるという意図に反し、子供の攻撃性や怒りを助長させる
  • 親は多くのの場合冷静さを失い、後で自分の行為を後悔する
  • 子供を傷づけることにつながりかねない

叩くことは子供の発育に悪影響を及ぼす

2009年にアメリカのデューク大学やハーバード大学などのチームが行った研究で、子供を叩くことは、子供の発育に悪影響を及ぼすことが判明している。しつけで叩かれることの多かった1歳児は、2歳になると他の子供よりも攻撃的な態度を見せることが多く、3歳になると認知力のテスト結果が他の子供よりも低いという結果が出ている。

これに対し、言葉で子供を叱った場合には子供の攻撃性や認知力に悪影響を及ぼさないことがわかっている。興味深いことに、言葉で叱った後、母親が子供の感情を気遣ってフォローをしたケースでは、子供の認知力テストの結果が向上したという結果も出ている。

子供に誤ったメッセージを送ってしまう

子供は叩かれる痛みを通じて何を学ぶのだろうか?親が期待するのは同じ過ちを繰り返さないことであるが、専門家はそうした効果は認められず、むしろ以下のような誤ったメッセージを送ることになると述べている:

  • 他人を叩くことで怒りやフラストレーションを発散しても良い
  • 強い者は弱い者に対して力を行使しても良い

更に悪影響として、子供は叩かれる痛みや恥ずかしさから逃れるために嘘をつくようになると言う。

効果的な「叱り方」

感情まかせの理不尽な叱り方は論外だが、不測の事態が懸念されるとき、子供を危険から学ぶためについつい厳しく叱ってしまいがちだ。こうしたとき、専門家が推奨する効果的な叱り方は、「行為の結果」として待ち構えている「罰」を子供に対して明示することだ。例えば、「家族で外出時に一人でどこかに行ったらすぐに帰宅する」などといったルールを示し、子供にも口に出してそのルールを言わせる。それでも一人でどこかに行こうとしたときには、「なるほど、もうお家に帰ることにしたのね」と冷静に言って聞かせ、帰宅をする。この方法は、口頭で注意したり、叩いたりするよりも子供の学習効果が高いそうだ。子供がまだ幼く、この方法が通用しない場合には、親がしっかりと監督をして子供を危険から守る他ない。

本来、しつけとは子供に正しい状況判断をさせるためのトレーニングであるが、今回紹介した研究結果からも明らかなように、子供を叩くことは逆効果であるばかりか、子供の中長期的な発育にとってもマイナスであることを認識することが大切だ。

参考元:
Duke TODAY: “Does Spanking Work?”

babycenter: “BabyCenter Spanking Survey 2009″

象印: “子どもに甘い今どきパパと、しつけに厳しいママ”

Positive Parenting Solutions: “The Spanking Debate Continues…”
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