日本ではいわゆる「待機児童問題」などから、妊娠前に就業していた女性が第1子出産後も継続就業する割合は38%と低い状況にあります。海外の状況を見ると、アメリカにおいては意外な理由から出産後に専業主婦になる女性の割合が増加しています。一方、イギリスでは社会復帰をする母親が増加する反面、「専業主夫」が増えていると言います。

保育料が州立大学の学費よりも高いアメリカ

ワシントンDCにあるシンクタンク、ピュー研究所のレポートによると、アメリカの母親の30%が専業主婦(stay at home mom)で、1999年の23%から大きく増加しています。この大部分を占めるのが中・下流階級で、理由は保育料が高すぎるため、家庭で子供の世話をする方が理に適っているということです。

アメリカの保育料に関しては、昨秋Child Care Aware of Americaが驚くべきレポートを出しています。それによると、31の州において、年間に掛かる保育料の方が、州立大学に通う州民の学費よりも高いというのです。(アメリカの州立大学は州政府の税金で運営されており、納税者である州民の学費は州外出身者よりも安く設定されています。)

保育料と大学の学費との差が最も大きかったのがニューヨーク州で、州立大学の学費の平均が$6,500(約65万円)であるのに対し、保育料の平均は$15,000(約150万円)と、年間85万円ほどの開きがありました。他にもマサチューセッツ州、メリーランド州、コロラド州、オレゴン州は保育料が高く、州立大学の学費を大きく上回っています。一方、サウスカロライナ州では、州政府による交付金削減により州立大学の学費が上昇したため、保育料の方が40万円ほど安い状況になっています。

大学の学費であれば親としても貯蓄する時間的余裕がありますが、保育料は待ったなしです。また、保育園には大学のように奨学金制度があるわけでもありません。保育料が大学の学費と同程度となると、子供を保育園に通わせず、専業主婦として子供の世話をする道を選ぶというのもうなずけます。

出産後も働かざるを得ないイギリスの事情

イギリスの国家統計局が発表したデータによると、イギリスの専業主婦の数は約200万人で、20年前に比べて100万人も減少しているということです。イギリスの養育費は先進国の中でも高いレベルにありますが、政府による財政再建で児童手当が削減され、家計を支えるために母親が出産後に就業せざるを得ない家庭が増えているようです。

イギリスでは働くママが増えている反面、不景気により男性の失業率が高まっており、「専業主夫」の数が近年でもっとも高くなっているというデータもあります。ある統計によると、働いている母親の3人に1人が一家の稼ぎ手になっているということです。元法廷弁護士で専業主婦を増やす活動をしているローラ・ペリンズ氏は、「政府は、女性が家に残って家族の世話をすることを困難にしています。出産後に就業する女性の大半は好んで働く選択をしているのではありません。働かないと生活をしていけないのです。」と述べています。

まとめ

日本のみならず、他の先進国も、子育てに関して様々な社会問題を抱えていることがうかがえます。以前紹介した、「世界一しあわせな子育てができる国」と言われるフィンランドでは、国民が高い税金や社会所保障費を負担する見返りに、母親は子供が3歳になるまで産前の職が保証されており、復職する際は必ず子供を保育園に入れることができます。また、保育料や保育の質は、公立・民間を問わずに均一だそうです。日本にフィンランド型の高負担・高福祉制度をそのまま取り入れることは困難ですが、各家庭が望む育児ライフスタイルを選択できるようにするために、参考になる点は積極的に取り入れていくべきだと思います。

参考元:

厚生労働省: 「平成 23 年版 働く女性の実情」

Washington Post: “Start saving now: Day care costs more than college in 31 states”

The Telegraph: “Number of stay-at-home mothers falls to new record low”

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